横浜の金沢文庫を拠点に、子供たちを対象にしたアート教室を開いてきた浅葉和子さんの活動が、2019年で50周年を迎えました。
ハンカチーフ・ブックスでは、2019年12月に浅葉さんの活動拠点であるアサバ・アート・スクエア(ASABA ART SQUARE)を訪ね、ネイティブ・アメリカンとの出会い、金沢文庫芸術祭、虹の戦士のことなどをたっぷりとインタビュー、そのお話は発売中の『TISSUE Vol.4 毎日は愉しい』に掲載しました。

そして年が改まり2019年11月16日、次なるステップとして、マクロビオティック料理家の中島デコさんを金沢文庫にお招きし、料理教室とトークという2部構成のイベントを開催! 今回は、その時にお話しいただいた浅葉さんのメッセージを5回にわたってお届けします。

天から受け取った言葉をそのまま発するような浅葉さんのメッセージ。
当日のイベントに参加した方も、されなかった方も、いろいろな思いをめぐらせながらぜひご一読ください。

3「金沢文庫芸術祭」への道のり

2020年3月22日

浅葉
あと、(アメリカン・インディアンの人たちは)伝統をものすごく大切にしている。で、すごいのはね、パウワウっていう彼らの伝統行事があるのね。ひとつのお祭りなんだけど、そういう時に、モンタナとかいろいろなところからやって来て、一夜にして山の裾野が祭りの場になるわけ、いろいろなティピ(注1) が張られてね。

そういうところで各部族が24時間音楽やって歌ったり、踊ったり、そういう感じなんですよ。
で、その部族の音楽がはじまると、わたしのテントのところにいた92歳くらいの腰の曲がったおばあちゃんがかっと立ち上がってね、その曲に合わせて踊ってくんですよ。あと2〜3歳くらいの子も同じように踊っていくわけ。

だから本当にね、そういう部族の伝統が当たり前に残っているのね。日本にはない伝統がサークルのなかで生きてる、っていうのかな、それが一番羨ましいと思いましたね。あと、お年寄りに対してとか、人を尊敬する、リスペクトすることが日常にあるっていうことかな。

――
日本に戻ってこられた頃って、そういう先住民の文化はまだ認知されておらず、これからどうやって活動しようかと考えられたと思うんです。
それがいまの活動に少しずつつながっていったと思うんですけど、具体的にどんな感じで活動されていったんですか?
浅葉
具体的には、あまり考えてないんだけれども……ただ、たまたま子供たちに教える立場にあるから、わたしは選ばれたと自分で思ったわけ。
(エジプト大使館からの帰りに)その1枚の絵に出会ったというのは、矢を打たれたのと同じと思っているのね。
だから、もうその時に《虹の戦士》になるっていうことで矢を打たれているんだと、自分では自覚していたわけ。他の人には言わなかったけれど、自分の心のなかで。

だから、帰ったら自分の学んだことを、教室の生徒にとにかく教えたい。実際にいろいろやりましたが……木を使ってやることとか、自然のものをテーマにしてやることがすごく多くなったのね。

だけど、世の中どんどんどんどん、いろいろなことで社会問題が起きてきたから、これではおっつかないなぁと思ったの。
それで焦りだして、何とかしなきゃなって思っているけど、この感情をわかってくれる人はそういないわけですよね、現実は知らないから。

そういう時にね、たまたまわたしのところがコーヒーギャラリーをやっていて、(称名寺の)参道にある「ふみくら茶屋」のご主人と建築家の人、3人がばったり顔を合わせたわけ。それでお茶飲みながら「なんかやりたいよねー、ここすごいいいところだもんね」という話になって、それで「じゃぁ芸術祭をやろう」って言ったらすぐ決まったわけ。
わたしのなかには、「あ、芸術祭を通していろいろなことを伝えられる」っていうひとつの思いがありましたね。

――
なるほど、それが金沢文庫芸術祭ですよね。今年で何年目?
浅葉
今年で21年目。99年が第1回目ですね。
――
今年、ようやく参加できたんですが、すごく盛況でした。
普通のお祭りと違ってアートが溢れているすてきな空間で……まだ訪ねてない方は来年ぜひご一緒しましょう。
で、そういう歩みのなかで《虹の戦士》が形になっていったわけですよね。

(会場を見回しながら)皆さん、《虹の戦士》をご存知の方はどれくらいいらっしゃいますか? 名前を聞いたことがあっても、何を意味するかはっきりわからない方もいらっしゃると思うので、ちょっとその話をいただけませんか?

浅葉
《虹の戦士》って、ネイティブ・アメリカンのクーリー族の人たちが書いたんじゃないかって言われているんだけども、もう大昔から伝わるお話で……、

地球が病んで
動物たちが姿を消しはじめるとき
まさにそのとき
みんなを救うために
虹の戦士たちが現れる

っていうくだりがあるんですよ。

アサバ・アート・スクエアにある
《虹の戦士》のメッセージ。

(手もとの本を指しながら)この本なんです(下記を参照)。うちの教室は、この本をずっーとテーマに去年くらいまではやってきたんです。
日々の流れで計画的じゃないんですけれども、わたしがアメリカに最初行った時にね、ある新聞の連載を頼まれたわけ。その時、この一節を書きたいって思って、(翻案者である)北山耕平さんに電話して許可をもらったのが最初ですね。

そんなわけで、自分のなかでは意識していたんだけれども、(自分自身が)《虹の戦士》になるということは思ったことはありませんでした。
時が流れて、99年に金沢文庫芸術祭をはじめてちょうど10年たった時、芸術祭のなかでもっともっとネイティブのことを伝えたいっていう気持ちが強くなったのね。それで先住民族広場っていうのをひらいたわけ。

(つづく)

注1 ティピ……アメリカ・インディアンが利用している移動用の住居。

2019年11月16日、Asaba Art Squareにて収録。

聞き手:長沼敬憲(ハンカチーフ・ブックス編集長)
撮影:井島健至
編集協力:わたなべなおか(やらだ出版

「天におられる私たちの偉大なるスピリットは、どうして白人たちが僕たちの土地を奪う事をお許しになられたのですか!?」――ネイティブの血を引く少年の問いに、部族の長老である祖母はどう答えたのか? 物語はここから始まり、様々なエピソードを交えながら、次のメッセージを伝えます。

「地球が病んで動物たちが姿を消し始める時、
まさにその時、みんなを救うために虹の戦士があらわれる」

「インディアンが昔のスピリットを取り戻したあかつきには、インディアンは白人たちに、互いに愛しあうとはほんとうにどういうことか、あらゆる人間を愛するとはどういうことかを、今度は教えることになるだろう」

以下、補足として北山耕平さんの解説から関連する箇所をご紹介します。

「世界各地の先住民の教えが伝えている。地球が病んで、動物たちが姿を消しはじめ、人々が健康を失って愚かな振る舞いを始める頃、(中略)伝説や、物語や、古い教えや、儀式や、神話や、太古の部族の風習などを、しっかりと守ってきた者たちの時代が到来すると。(中略)「虹の戦士」とは、その人たちを指す。(中略)正義と、平和と、自由に目覚め、偉大なる精霊の存在を認める存在。日本列島は、母なる地球は、その人たちの到来を必要としている」

(北山耕平・翻案『定本 虹の戦士』太田出版より)

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プロフィール

ポートフォリオ

浅葉和子 Kazuko Asaba
武蔵野美術大学グラフィックデザイン科卒業。1968年より横浜市・金沢文庫で子供の絵画教室をスタート。児童絵画を通しての異文化交流(エジプト、トルコ、アメリカ、ラオス、タイ、オーストラリア、オランダ、中国、アフリカ、メキシコなど)を行う。1991年、渡米。ロサンゼルス・カリフォルニア州立大学、ニューメキシコ大学でアートセラピーを学びながら、アメリカ先住民、北プエブロ族と交流。帰国後、子供のために絵画教室をベースにしつつ、彼らに学んだ自然との共存の精神を広く伝えるために様々な活動を展開。1999年、「金沢文庫芸術祭」を立ち上げ、アートを通じての人輿し(町輿し)運動を開始した。教室のあるスペース(アサバアートスクエア)には、一般の人が立ち寄れるカフェ&ギャラリーも併設している。著書に『魔法のアトリエ子どものデザイン教室』(創和出版)。
★アサバアートスクエア http://asabaart.com

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