タイトルを直訳すると、「あなたの骨を感じよう」。それが英語では、「直観に従おう」という意味になります。骨と直観的なものを結びつける感覚……。不思議に思うかもしれませんが、日本人も古くから骨という言葉に大事な意味を託してきました。

たとえば、「骨がある」「気骨がある」「骨を拾う」……どれも精神との深い関わりを連想させます。つまり、目には見えない骨にこそ、その人の根本を支える大事な魂が宿っている。その骨を効果的に活用することで、パフォーマンスを劇的に向上させるメソッドが「骨ストレッチ」です。

創始者の松村卓さんと出会い、いくつかの縁がつながれていくことで、最初の本を世に送り出したのが2011年。2016年4月に収録した今回のインタビューでは、最初の本の撮影の舞台となった東京の代々木公園で松村さんと落ち合い、ゆっくりと過去・現在・未来へといたる道のりをたどっています。インタビューから3年経ったいま、当時を改めて振り返ってみましょう。

2「骨ストレッチ」に育ててもらってきた

2019年12月19日

――
それにしても、出版には時間がかかりましたね。山あり谷あり、紆余曲折を経て、デビュー作である『誰でも速く走れる骨ストレッチ』の刊行に漕ぎ着けたのが(2011年)6月30日です。
松村
いまとなっては懐かしい思い出ですね。
――
で、当時の記録を調べてきたんですが、うちがお手伝いする形で骨ストレッチの最初の講習会を開いたのが8月26日です。
松村
覚えていますよ。横浜の日吉でしたよね。たしかダンススタジオで、4階まで上がってね。
――
おお、そこまで覚えていますか? 当時、Facebookを始めたばかりだったんですが、読み返したら講習会の告知が見つかって、15名限定とちょっと控えめに書かれていました。
松村
でも、20名以上の方に来ていただきましたね。
――
どれだけ集まるかわからず、ちょっと弱気だった気がしますけど(笑)、結局、越えましたよね。
松村
終わった後の懇親会も印象深いですね。長沼さんが思いのたけをいろいろと話されて、参加者のWさんに「あなたも人前に出て話をしたらいい」って励まされて。
――
不意にそういう話になったんですよね。先生の会だったのに、なぜか「自分はこう思っている」みたいな話を(笑)。
松村
きっと何かに背中を押されたんでしょう。
――
僕自身、同じ年の12月14日に『腸脳力』を刊行したので、世の中に出ていく転機の年だったんだと思います。
松村
お互いがそうだったんでしょうね。
――
2011年が生き方の転機になった人って、たくさんいると思いますよね。先生は、それから骨ストレッチとともに大きく変化していきましたが、根本は全然ぶれていないですね。
松村
自分としては、骨ストレッチに育ててもらっているという思いが強いですね。骨ストレッチのすごさを知れば知るほど、そのレベルに自分が追いつかなきゃいけないっていう気にさせられます。
――
それだけすごいものに出会ってしまった……。
松村
ええ。自分としては、骨ストレッチの真髄に近づきたいと思っているだけで、誰がライバルとか、誰に知ってもらいたいとか、追求するほどにそういう思いはなくなっていきましたね。
――
先生ご自身、いろいろなものがほどけていったんじゃないですか?
松村
不思議ですが、認めてほしいと言っているうちは誰も認めてくれない。そういう時って、我が出ますよね。
――
その我が邪魔するんでしょうね。
松村
我欲を持つことが悪いわけじゃなく、大我じゃないから広がらないんです。小さな欲から離れて、世の中のためになる大きな欲を持つ。そうした自問を何度も繰り返すことで、自分の進む道が見えてくる気がします。
――
まさにパラダイムシフトですね。
松村
ええ。何度も脱皮しながら、いまがあるんだと思っています。

(つづく)

インタビューは、2016年4月、東京・代々木にて収録(哲学系インタビューBOOK「TISSUE Vol.1」より転載)。

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プロフィール

ポートフォリオ

松村卓 Takashi Matsumura
1968年、兵庫県生まれ。中京大学体育学部体育学科卒業。陸上短距離のスプリンターとして活躍。100mの最高タイムは10秒2(追風2.8m)。北海道国体7位、東日本実業団4位、全日本実業団6位などの実績を持つ。現役引退後、ケガが絶えなかった現役時代のトレーニング法を根底から見直し、筋肉ではなく骨の活用法に重点を置いた画期的なストレッチ法「芯動骨整体(骨ストレッチ)」を創始。体幹部を効果的に活用できる「骨ストレッチ・ランニング」「骨ストレッチ・ゴルフ」などを生み出し、全国で講習会を開催するほか、独自の「WTラインシューズ」を開発。著書に、ベストセラーになった『ゆるめる力 骨ストレッチ』(文藝春秋)、甲野善紀氏との対談『「筋肉」よりも「骨」を使え!』(ディスカヴァートウェンティワン)などがある。2019年12月、スポーツ全般をテーマにした『骨ストレッチでスポーツ〜しなやかに動けるからだへ』(阿部出版)を刊行。http://www.sportcare.info

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