今回のTISSUE(ティシュー)では、「毎日は愉しい」をテーマに、さまざまな分野からつむぎだされた次の7つの物語をお届けします。いったいどんな物語なのか? ご案内していきましょう。

1林良樹/ローカルが世界を変える

2019年7月22日

林良樹さん(撮影:井島健至)

カメラマンの井島健至さん・春さんご夫婦と連れ立って、千葉県の南端、南房総の鴨川を訪れたのは、まだ肌寒い1月中旬のこと。

鴨川の棚田を保全している林良樹さんという、前年に脱稿した『フードジャーニー』の世界を体現したような方がおられることを井島さんから聞き、なにはともあれ取材してみようということになったのです。

林さんは、世界中を放浪した果てに、この土地の1000年つづく棚田に惹かれ、以来、20年にわたって土地に溶け込み、新しい暮らしをつくりあげてきました。

鴨川の一帯は、かつての安房の国。

黒潮に乗って阿波(徳島県)からやってきた人たちが土地の開拓に携わってきたという伝承のまま、いまも外部からの“まれびと”がこの小さな国に生命を吹き込もうとしています。

僕たちが目にしたのは、未来を先取りしたかのような心地よく、クリエイティブな生き方。

林さんに案内されるまま高台に向かい、寒空のもと、一面に広がる田植え前の棚田を目にした瞬間、なにか圧倒されるような感覚がしずかに押し寄せてきました。


僕がこれから伝えていきたいことが、ここに凝縮されているかのような……。

生きるために受け継がれ、その時代その時代の人たちが感じてきたこと、インターネットの先には、検索しても出てこない 「目に見えないもの」が集積された《風土》が存在し、その情報の渦のなかで人は生きている……。

きっと林さんは、それを20年前に感じ、その時にひろがったビジョンを信じて、鴨川の土地につながっていったに違いない。
お話を伺っていくうちに、そんな実感がじわじわ湧いてきて、その日のうちに「これを文字に残したい」と思うようになっていました。

(撮影:中村将一)

たった1日の取材でしたが、そこには思った以上に濃密な時間が流れていました。

ローカルが世界を変える……。

新しい時代の波は周縁から中心へ、これからかなり早いスピードで広がっていきそうです。

そんな時代の息吹を感じとりたい方、ぜひ「TISSUE vol.04」を手にとってお読みください。

(つづく)

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今回のゲスト

今回のゲストポートフォリオ

林良樹 Yoshiki Hayashi

1968年、千葉県生まれ。地球芸術家。NPO法人うず理事長。様々な職業を経験した後、アメリカ、アジア、ヨーロッパを放浪。1999年、鴨川の古民家に移住。土地の暮らしに溶け込みながら、「美しい村が美しい地球を創る」をテーマに、釜沼北棚田オーナー制、無印良品 鴨川里山トラスト、釜沼木炭生産組合、地域通貨あわマネーなど、人と自然、都会と田舎をつなぐ多様な活動を行っている。その活動は、芸術、農、教育、自然エネルギー、エコビレッジと幅広く、そのすべてが「持続可能な社会づくり」へとつながる。近年では、企業(無印良品)、大学(千葉大学)、自治体(鴨川市)など、組織の垣根を越えた連携も進めている。著書に『スマイル・レボリューション〜3・11から持続可能な地域社会へ』(加藤登紀子・林良樹 白水社)がある。
里山という「いのちの彫刻」

プロフィール

ポートフォリオ

長沼敬憲 Takanori Naganuma

作家。出版プロデューサー、コンセプター。30 代より医療・健康・食・生命科学などの分野の取材を開始、書籍の企画・編集に取り組む。著書に、『腸脳力』『最強の24時間』『ミトコントドリア“腸”健康法』など。エディターとして、累計50万部に及ぶ「骨ストレッチ」シリーズなどを手がけたほか、栗本慎一郎、光岡知足などの書籍も担当。2015年12月、活動拠点である三浦半島の葉山にて「ハンカチーフ・ブックス」を創刊、編集長を務める。哲学系インタビューBOOK『TISSUE(ティシュー)』を創刊。科学系インタビューサイト「Bio&Anthropos」(バイオ&アンスロポス)主宰。2018年夏、5年の歳月をかけてライフワーク『フードジャーニー』を脱稿。オフィシャルサイト「Little Sanctuary」(リトル・サンクチュアリ)

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TISSUE vol.04

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特集:毎日は愉しい

内容紹介

今回のTISSUE(ティシュー)では、「毎日は愉しい」をテーマに、さまざまな分野からつむぎだされた次の7つの物語をお届けします。無限の世界につながる扉へ、ようこそ。

¥1,728(税込)

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