今回のTISSUE(ティシュー)では、「毎日は愉しい」をテーマに、さまざまな分野からつむぎだされた次の7つの物語をお届けします。いったいどんな物語なのか? ご案内していきましょう。

4金尚弘/「生物」と「機械」の境界を超えて

2019年8月12日

この世界にあるものをわかりやすく分類し、そのデータを数字に換えてシェアすること。

過去数百年にわたり、科学の分野ではそうした方法論を駆使することで、さまざまな成果を挙げてきました。AIの普及はその究極系とも言えますが、データですべてが語れるわけではもちろんありません。

ビッグデータの活用が進み、AIによる自動化が進む時流のなか、システム工学の若き研究者である金尚弘さんが着目するのは、人の身体に内在する意識の働き。

人と工場、身体と機械、さらには感情とデータ……対極にあるかのように思えるこの二つの世界をつなげることで、いったい何が見えてくるのか?

普段あまり語られることのない、生物(人)と非生物(機械)の見えざる境界……。

その壁を注意深く取り払っていくと、無機質な機械の向こうにひょっこり人の姿が浮かんでくるような……。あるいは、それも幻影かのような……。

才気あふれる金さんとお話しすることで、モノとココロを二つに分けてしまう思考パターンが徐々に解かれ、この世界をもっと自由に受け止める「意識のあり方」があらためて確認できた気がします。

「自分がいまどう感じているか?」

もしかしたら、世界はここからすべてが始まっているのかも。たしかに自分がいなくても世界は存在するだろうし、続いていく……でも、《自分がいない世界》を想像しているのも自分だし、自分がいなければそんな想像すらできないわけで……。

ちょっとむずかしい?? でも、感じている自分が世界のあり方を決めているということ。

自分抜きに、(金さんの言葉を借りるなら)自分の感情抜きに、客観的なものなんてありえないこと。

主観を切り離した客観は、幻想かもしれないこと。

どこかバラバラに感じられてしまう世界、そのなかでの自己の存在意義、自分が存在していることの意味。

そんな大事な問いかけに接続できるような、ちょっとふしぎな対話がお届けできたと思っています。

拡張する身体

「わたし」という存在はたえず外部とつながりながら、拡張と収縮を繰り返し、この世界とつながっています。このつながりは、心地よさと安心感、自信を生み出す源。見失われてしまうことで孤立感、自己喪失感がうながされ、生きる意味が見出せなくなります。

(つづく)

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今回のゲスト

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金尚弘 Sanghong KIM

1986年、大阪市生まれ。2005年、京都大学工学部入学。2014年、京都大学工学部博士課程修了、同年4月、京都大学工学研究科化学工学専攻プロセスシステム工学研究室助教に就任。化学、製薬、半導体など様々な製造プロセスから得られるデータを解析、製造効率を改善するための方法論を開発し、社会に応用してきた。2016年、人間の運動機能の改善や動作分析の研究を開始。日本の古武術をベースにした身体技法「骨ストレッチ」の創始者である松村卓氏とともに、「WT-LINE®シューズ」の開発に取り組むなど、AI、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)に注目が集まる時流にとらわれず、自由な発想に基づいた研究に従事している。計測自動制御学会技術賞など、受賞歴多数。

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プロフィール

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長沼敬憲 Takanori Naganuma

作家。出版プロデューサー、コンセプター。30 代より医療・健康・食・生命科学などの分野の取材を開始、書籍の企画・編集に取り組む。著書に、『腸脳力』『最強の24時間』『ミトコントドリア“腸”健康法』など。エディターとして、累計50万部に及ぶ「骨ストレッチ」シリーズなどを手がけたほか、栗本慎一郎、光岡知足などの書籍も担当。2015年12月、活動拠点である三浦半島の葉山にて「ハンカチーフ・ブックス」を創刊、編集長を務める。哲学系インタビューBOOK『TISSUE(ティシュー)』を創刊。科学系インタビューサイト「Bio&Anthropos」(バイオ&アンスロポス)主宰。2018年夏、5年の歳月をかけてライフワーク『フードジャーニー』を脱稿。オフィシャルサイト「Little Sanctuary」(リトル・サンクチュアリ)

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内容紹介

今回のTISSUE(ティシュー)では、「毎日は愉しい」をテーマに、さまざまな分野からつむぎだされた次の7つの物語をお届けします。無限の世界につながる扉へ、ようこそ。

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